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「青学レギュラー」というだけでモテる。それは仕方のないこと。

でも...無性に腹が立つのはどうしてだろうか?







青学テニス部といえば関東にその名を轟かせる名門テニス部。

青学はレギュラーと一般部員ではジャージからして違う。
あの青と赤がバランス良く入り混じった青学ジャージを着て歩くだけで目立つ。

青学レギュで人気があるのは大体手塚、不二、リョーマなどと思われがちだが、いささかそうでもない。

桃なんかは中学生という年代には最も親しみやすい性格でモテるし、大石はあの誰にでも優しい性格故、勘違いをする女子が後を絶たない。菊丸はカワイイキャラと明るい性格が受け、結構な人気を得ている。

無愛想だと言われる海堂だって言い方変えればクールで物静かとも言えるため、隠れファンが多い。



そして...乾も例外ではない。

******

「おはよう、海堂」

「ッス...」


朝のお決まりの挨拶を交わし、二人の朝は始まる。

乾と海堂は別に「一緒に登校しよう」と約束を交わしているわけではないが、いちおう「オツキアイ」をしている身として、登下校は最早暗黙の了解となっている。

登下校中の会話はもっぱら乾が海堂に話し掛け、それを海堂が黙って聞いているというパターンが多い。

楽しそうに海堂に話しかける乾に、それを黙って聞き時折かすかにうなづく海堂。

その光景は第3者の目から見ると乾の一方的な問いかけに海堂がつまらなそうに答えているように見え、そこに言葉のキャッチボールなど微塵も感じられない。

が、乾は愛しの海堂の隣で話していられることにこの上ない幸福を感じているし、海堂は海堂で乾の興味深い話に聞きいっている。

それに表情にこそ出すことはできないが...


海堂は乾にかなり惚れていた。


ふとした時に見せる大人びた表情や、自分を包み込む包容力...


でも、乾のことをそんな風に感じているのはどうやら海堂だけではないらしい。




「乾君、おはようv」

二人だけの世界だった空間にひとりの女生徒の声。どうやら乾と同じクラスらしい。

「ああ、おはよう」

乾もその女生徒に挨拶を返す。

海堂の中では乾が挨拶を交わした時点でこの女生徒は去っていくものと思っていた。しかし


「乾君、今日の数学の宿題やってきた?もしやってたら教えてくれない?私分かんなくってぇ〜」


その女生徒はどこか媚びたような声で乾に話しかけてくる。

乾も海堂のほうをちらちらと気にはしつつも、その女生徒を意味もなく邪険にはできず、そこそこに対応している。

海堂はそのまるで自分をほっとかれているようでかなり不機嫌になった。



そして信じられないことにそのままその女生徒は乾の横を離れなかった。

******

その日の昼休み、海堂は乾に呼び出され、乾の教室まで行くことになった。

普段行き慣れない3年棟はどうも自分には不似合いな気がした。



そして乾の教室が見えてきた、という距離のところで海堂はあまり見たくないものを見てしまう。


今朝の女生徒ともう一人別の女生徒と何やら楽しそうに談笑する乾の姿を。


しばらく海堂は近づくことも遠ざかることも出来ず、ただそこに立っていた。


そして会話が終わったのだろうか。女生徒らは教室を出て、どこかへ消えた。

その際、海堂のそばをすり抜けた。その時かすかに聞こえた二人の会話。

「乾君ってかっこいいよね?」
「うんうん!話もおもしろいし、この前の水泳でメガネとってるとこ見たけど超かっこよかったよ!」
「そうそう!あ〜、あたし告っちゃおうかなぁ」



海堂はそのまま乾の元へは行かず、自分の教室へ戻った。

******

自分の教室へ戻った後も海堂はモヤモヤした気持ちを消せずにいた。


分かっている。これは嫉妬だ、と。


(別に先輩が誰と喋ろうがどーってことねぇ...)


乾に抱きしめられるのは自分だけ。キスをされるのも自分だけ。愛されている自信はある。


でも...


恋をするのが始めてな海堂はどうすればいいのか分からなかった。



授業が始まってすぐ乾からメールが来たが、結局返信することができなかった。

******

部活が始まってからも海堂は乾を避けた。

でも正直を言うと、実際は「避けた」というよりも、くだらないことで嫉妬する自分を見せたくなかったのかもしれない。




どこかギクシャクした雰囲気の中、部活は終わった。




「おつかれでした〜」

「お疲れ」


着替えを済ませた部員達が次々と帰宅していく。


海堂は今日はどうしても乾と帰る気にはなれなくて、早々と着替えを済ませていた。

が、周りをよく見渡してみると、乾がいない。荷物もない。

先に帰ってしまったのだろうか。


(先輩が俺を置いて...?)


海堂は表現しようのないくらい寂しい気持ちになった。


(ていうか俺も先輩より先に帰ろうとしたんだよな...)


自己嫌悪にも似た気持ちになる。

元はと言えば自分がつまらないことで嫉妬し、乾を避けていたのだから、と海堂は自分で自分を責めた。



そして海堂は傷心のまま帰路につこうとした。





「海堂」


それは海堂が校門にさしかかったとき。

秋も深まり、部活が終わる時間帯はもう暗くなっている。

うっすらと海堂の視界に映る長身のシルエット。

耳に心地よく響く低音のボイス。

それが誰かなんて確認しなくても分かる。


「先輩...」

「待ってたんだよ」


優しく微笑み、海堂のそばへ歩み寄る乾。

海堂は先ほどの自己嫌悪的な気持ちもあり、真っ直ぐに乾を見ることができない。


「海堂...」

乾が海堂の頬にそっと触れる。


「先輩...すみません...」


何の主語もない謝罪。でも海堂は何を言うよりも早く、乾に謝らなければいけない気がした。

そんな海堂をただ優しく見つめる乾。

「うん。でもただ謝る前に何を怒ってたのか教えてくれないか?それを言ってくれないと分からないよ。俺が何かした?」


海堂は慌てて頭を横に振る。


「先輩は...何も悪くないっす...ただ俺が...」

少しの静寂が流れる。

「ただ俺が...つまらない嫉妬してただけです...」



海堂は今日の気持ちを全て乾に話した。
朝乾に話しかける女生徒に不快感を感じたこと。乾と楽しそうに話す女生徒に嫉妬したこと。一日中気持ちがモヤモヤしてスッキリしなかったこと。


乾は黙って全ての話を聞いていた。

そしてそっと口を開く。


「海堂...嬉しいよ」


意外な乾の言葉に海堂は驚き、ずっと伏せていた顔を上げ、乾の顔を見た。

乾はただ優しく笑っていた。

「俺が女の子と話すのがイヤで嫉妬したんだろ?それは...嫉妬してしまう程海堂が俺のことを好きだってうぬぼれていいのかな?」


乾の言葉に海堂はボッと顔を赤らめた。
乾はそんな海堂のそんな仕草を見て、心から可愛いと思ってしまう。

そして海堂は小さく、でも確かにうなづいた。


「海堂。そんなに心配しなくても俺は海堂だけだよ。好きだって思うのも...こういうことするのも」


と言うが早いか、乾は海堂の唇にキスをした。


「んっ...」


いきなりのことに海堂の思考はついていかず、ただ乾の巧みなキスに酔うしかなかった。


数秒後、唇が離れる。


「ね?」

「ッス...」


悪戯っぽく微笑む乾と顔を真っ赤にしてうなづく海堂。




そして二人は「いつものように」仲良く帰路についた。


They likes each other very much!
END
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(あとがき)
23000ヒットのリク、 「薫にベタ惚れだけどモテまくりな乾さん×乾さんに惚れまくりの乙女薫」、ちとせさんから頂きました!
まぁ毎度のことですが...駄文、何を言いたいのかよく分からない、オマケに書くの遅いの3拍子でして...
ちとせさん、大変にお待たせしてしまって申し訳ありませんでした!お待たせしてしまった割にこんなもんしか書けない私で申し訳ありませんでした!!
こんなもんでよろしかったらどうかどうかもらってやって下さい...(T_T)
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